LT(仮、forS先生)


僕らの手の中には液晶画面なんてなくて
額を寄せるのにとても勇気が要ったね。
雑誌なんて読まない僕らは手の中にピックを持って
いつも音楽の話ばかり
それぞれに相棒を抱えて
近づくのも心配だった。
空気が雁字搦めに僕らを繋いで
糸電話みたいに僕らは繋がってた。

僕らには液晶画面なんてなくて
目の前にはまっさらな紙の山とペン束ばっかり。
ビールをひっくり返して出来たしみも、
雨に溶かされてしまったインクも
涙でどろどろになった譜面も
変わらずにのこってるよ。
鉛筆の擦れ、インクの滑り
それに白い紙さえあれば、
僕らは万能だった。
大切なことは全て紙の上にあった。

液晶画面が物を書けないペンが
涙も飲み物も嫌う回路達が
僕らの日常を変えていってしまうけれど
僕は忘れない。
君の前髪の感触を、君の声が与えた鼓膜の震えを、
書き損じた手紙のざらつきを、
僕らを繋いでた空気の柔らかさを。

君はまだ、思い出せる?
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2013-08-20 : 創作 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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かざみ

Author:かざみ
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