視線の先の


以前、ある瞬間にふっと、
上を見上げたらそこに星があって、

 ああ、あの星の光と私の間には、
 何光年もの時間と距離があるのに、
 何一つ障害もなく私に届いたのだなぁ、

とふと実感したことがある。

勿論ある種の妄想だ。
あれこれの突っ込みどころだって、承知している。
けれど、私はこの感覚を気に入っている。
時間を超えるような距離の間で、
障害物が存在しないということ。
それが事実かどうかはこの際関係なくて、
その感覚に、異様に感動したのだった。


本日、帰りの車内にて。
読んでいた本に違和感を感じた。
どうやら、読んでいた行のフォントがおかしい。
相当見直した後に、
その行の末尾が「、」であることに気付き、
多分違和感の元が語数調整であることを認識する。
それしきのフォントにいちいち反応することに、
反面誇らしさを、反面自分のみみっちさを感じて変な気分になる。

同日における本日、同じく帰りの車内にて。
地上線に乗ってすぐ、
天井から「ばらばらばらっっっ」と音がする。
雹かと一瞬思うがさにあらず、雨粒である。
今更確認するまでもないが、私は大雨が大好きである。
テンション上がる。
窓には、雨粒の斜めのライン。

天井と外壁からばらばらばちばちと音が鳴り、
走行中の車内は一種異様な空間となる。
ある瞬間を通り越した瞬間に鳴り始めた音であるため、
不安を喚起させるのであろうか。
誰も大きな声は上げていないのに騒がしい密閉空間を体感しながら、
あるいは、戦時中に飛行機からの射撃を食らった町はこんな感じであろうかと、
何だかずれた感想を抱く。

駅に降りてホームへ降りると、
視界が白く煙る勢いの雨であり、
その上西の空は明るい。
テンション上がりっぱなしである。
ホームで空を見ながらぼんやりしていると、
明らかに西洋人な外観の数人がスマートフォンを空やホームに向けていて、
あるいは大方の日本人が嫌うこれ(私の好くこれでもある)は西洋人向けなのかもしれないと思う。

ところで、今日は馴染みの店へ向かうつもりであった。
周年祭である。
どっこい雨で足止めを食らっている。
店へ向かう前に花屋へ向かう予定だったので、
逡巡しながら雨を眺める。
明らかに弱まってはいるが、それでも濡れたらただではすまないであろうと感じ、
結局駅前の薬局でビニール傘を買う。
薬局にとってはもっけの幸いである。
ビニール傘を買う行列が出来ていた。

昔から、雨の好きさ加減には勝てないが、
傘も同様に好きである。
故に、といって理解されるかは怪しいが、
ビニール傘の嫌いさ加減が嫌悪に近いレベルである。
なので、随分久しぶりに、透明な安っぽいビニール傘を買った。

買って、それを差しながら町を歩いた。
どう見ても通り雨だった雨は小降りになっていて、
透明な傘から向こうを見透かすと、
晴れた西の空と、真上の黒い雲がいっぺんに見える。
合間には、ぱたぱたと降る雨の音。

立ちすくんでいるだけで、
空の色と雲の位置、雨の音で、
それはそれは幸せな気分になれた。
ビニール傘の存在に、
初めて敬意を払った。


けれど結局、色んなものを「見る」ことについて考えると、
どうしても星の話に返ってしまう。
私はまた、同じ星を見上げられるだろうか。
スポンサーサイト
2014-05-22 : 日々雑記 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

かざみ

Author:かざみ
つれづれなる海月のような生き方を目指しております。

thanks10000hit!(10/10/'16)
把握出来る数字を飛び越えました!

FC2カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

< 2017年07月 >
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

QRコード

QRコード