Tr.4 天路歴程


夜が空けた。空は何処までも晴れ渡っている。
まだ柔らかい日差しの下、旅人たちは眠りで固まった体をほぐし、身支度を整える。
朝食を済ませた彼らは荷を担ぎ、太陽の祝福を浴びながら歩みだす。

風は緩く吹く。
既に高くなった太陽からの光は強く、それにより火照った肌を撫でる感覚は愛撫にも似て優しい。
旅人たちの足は力強く、長時間の歩行による疲れなど感じていないかのようだ。
だが、一人が遠くに緑地を見つけるや、彼らは唐突な空腹と疲れを感じ、そして期待を込めた沈黙のなか、足早に緑地を目指す。

旅ゆく者の考えはみな同じだ。
緑地では先客が涼をとっていた。家畜に積んだ荷物から、遠来の行商人だと知れる。
互いに拙い言葉のやりとりをしていくうち、交換される杯の中身は水から酒へと変わり、それぞれの酒肴までもが行き来し始めた。

そのうち、先客の一人がすっくと立ち上がり、構えをとる。
それを見た仲間が、荷から楽器を取り出し、おもむろに演奏を始める。
舞は、優雅に、そして力強く。
祭りの舞だろうか。それはとても心を浮き上がらせる音と動き。
釣られた一人が、靴を鳴らして音を乗せる。
更に釣られたように、一人が立ち上がり、出鱈目に踊りだす。
旅人たちの宴は、何処までも遠く、遠くへ広がっていく。
何処からか聞こえた雷の音に、汗にまみれた旅人達は喝采を上げた。
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2010-06-13 : 一週間の夜の音楽 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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